壺齋散人の 映画探検
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アメリカ映画「情炎の女サロメ」 サロメ伝説を独自解釈



1953年のアメリカ映画「情炎の女サロメ(Salome ウィリアム・ディターレ監督)」は、サロメ伝説をもとにした作品。サロメ伝説は、キリスト教の聖書から生まれたもので、中世以来さまざまな説話や芸術の題材となってきた。芸術作品ではクラナッハの絵画や、オスカー・ワイルドの戯曲がとりわけ有名である。この映画は、従来のサロメ伝説にとらわれず、かなり自由な演出をしている。そのため、リタ・ヘイワース演じるサロメ像は、独特の雰囲気を漂わせている。

サロメ伝説の焦点は、サロメが自らの意志でバプティストのヨハネの首をはねさせるところにある。映画では、サロメの母親の意志で行われ、サロメは直接かかわっていないというふうに変更されている。サロメはかえって、ヨハネの死に驚嘆するのである。

そのサロメを、セックス・ゴッデスと呼ばれたリタ・ヘイワースが演じる。せっかくリタを登場させるのであるから、リタのイメージにそって、サロメ像も切り替えねばならぬ、そんな意図が働いて、こんな筋書きになったのだと思う。

この映画に出た時のリタは、すでに42歳になっていたが、年齢を感じさせない。あいかわらず豊満な肉体ぶりを披露している。かえって色気が増したくらいである。そのリタの髪の色は、地毛の栗色だ。

ローマによるユダヤ人の迫害が強調されている。征服者による迫害はいつまでも続くわけがないというメッセージが伝わってくるのだが、それを現在のパレスチナにあてはめれば、ユダヤ人によるパレスチナ人の迫害はいつまでも続くわけがないというふうになろう。




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