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宮崎駿「ルパン三世カリオストロの城」:シリーズ物の映画化



「ルパン三世」は、漫画とテレビで大きな流行を起こした作品で、筆者も昔テレビでよく見たことがある。いまだに放映されているというから、その人気の息の長さがわかる。宮崎駿は、この作品のテレビ制作の初期に携わったほか、劇場用映画も手がけた。「ルパン三世カリオストロの城」がそれで、この作品は宮崎にとって最初の劇場用映画となった。

ルパン三世の魅力の秘密は、ストーリー展開もさることながら、主要キャラクターたちの性格というか、雰囲気設定が絶妙なところにある。ルパン三世は大泥棒でありながら、悪を以てもっと巨大な悪を制するといった趣があるし、彼の相棒である次元と五右衛門は、ルパンとはちょっと違った雰囲気を醸しながら、ルパンとともに悪人どもを退治する姿が、颯爽としたイメージを喚起させる。ルパンの敵役である銭形警部でさえ、ルパンを引き立てながら、物語を多彩なものにしている。これに峰藤子が一枚からんで、多少の色を添えれば、物語の世界は豊穣たるものとなる、といった具合だ。

アニメであるから、現実世界の限界をかなり逸脱し、ストーリーの荒唐無稽とも言える展開ぶりと、ルパンたちのスーパーマンのような活躍ぶりが、見ている者をわくわくさせてくれる。しかもその荒唐無稽さとか超人的な能力が、かならずしも異様には見えない。世の中にはこういうことが起こっても、許されるのだ、と観客に思わせるところがある。そこは物語を語りかけるものの腕の見せ所というべきだろう。

この「カリオストロの城」は、泥棒であるルパン三世が、桁違いな泥棒ともいうべき偽金作りを相手に、波瀾万丈の戦いをしかけるところを描く。カリオストロ公国という独立国が、国をあげて世界中の紙幣を密造し、それを流通させることで巨大な利益を得ている。その国の独裁者である公爵は、一人のうら若い乙女を自分の妻にしようとしている。そう状況のなかでルパン三世が、公爵の野望を打ち砕き、うら若い女性を救出するというのがストーリーの概要だ。

この救出劇にあたってルパン三世が、次元や五右衛門の力を借りながら、また銭形警部の追求をかわしながら、そして峰藤子の協力も得ながら、超人的な活躍をする。その活躍ぶりが、このアニメ映画の神髄であり、また醍醐味であると言ってよい。要するに肩の凝らない、しかも気力をかき立ててくれる、なかなか愛すべき映画なのだ。



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