壺齋散人の 映画探検 |
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2001年のキルギス映画「旅立ちの鉄路(アクタン・アブディカリコフ監督)」は、徴兵年齢期を迎えた少年たちの群像を描いた作品。それに家族の崩壊を絡めている。この映画は、フランス資本も入っていて、フランス語でのメッセージも含まれるが、話される言葉はロシア語が大部分である。キルギスは、ソ連解体後もロシアとの密接な関係を保ち、ロシア語を話す住民も多かったようだ。 映画は、少年たちが徴兵のための身体検査を受けるシーンから始まる。全裸にされて、ペニスの状態や尻の穴の具合まで調べられるのは、世界共通のようである。尻の穴の具合を調べる意図が何なのか、よくはわからない。 その後、主人公の少年チンプとその遊び友達、および日頃親しくしている少女たちらの日常が描写される。彼らは退屈しきっていて、何か刺激はないかとさがしまわるのだが、踊ったりセックスプレイするのが関の山である。チンプは要領がよくないので、恋人ができない。 一方で、チンプの家族は解体寸前である。父親が甲斐性なしだからだ。あきれた母親は、娘を連れて家出をする。チンプは父親のもとに残ったが、やがて正式に徴兵され、汽車に乗って兵営に向かう。「旅立ちの汽笛」とは、かれを含めた徴兵たちをのせた汽車の汽笛なのである。 徴兵の事務にあたる兵士たちは、みなロシア語を話している。おそらくロシア兵なのだろう。この時代のキルギスは、軍隊編成もロシアと一体化していたのだろうか。 |
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