壺齋散人の 映画探検 |
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2015年のドイツ映画「ヒトラー暗殺、13分間の誤算(オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督)」は、失敗に終わったヒトラー暗殺計画を描いた作品。ヒトラー暗殺計画は、組織的なものや個人によるものなど、40件以上あったそうだが、この映画がとりあげた暗殺計画は、個人によるもので、しかも成功の確率が非常に高かった。成功しなかったのは、ヒトラーにとって思いがけない事情が生じ、予定とは異なった行動をとったためだ。要するにヒトラーは偶然に助けられて命拾いをし、犯人は悔し涙を飲んだというわけである。 映画は、暗殺計画に焦点をあてて描くのでは無く、その計画を実行した男の人間性に焦点をあてる。計画がばれて逮捕された男が、ナチによって尋問を受ける合間に、過去のことを回想する。その回想の中の思い出は、計画に直接かかわることよりも、男の個人的な生き方にかかわるものが大部分である。そんなわけで、観客にとっては、わかりにくい映画である。 見所は拷問シーンだろう。ナチは拷問のテクニックに長じていたというが、この映画の中では、拷問を受ける側はたいして痛がる様子を見せない。しかも背広を着てネクタイまでつけながら取り調べを受ける。ちょっと悠長な感じだ。 なお、ヒルシュビーゲルは、2004年に「ヒトラー最後の12日間」を作り、ヒトラー映画流行のきっかけを作った。ステレオタイプなヒトラー像ではなく、ヒトラーの多面的な性格を描き出そうとする姿勢が評価された。もっともこの映画の中のヒトラーは、あまり人間的には描かれていない。 |
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