壺齋散人の 映画探検
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魔笛:モーツァルト・オペラの映画化



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2006年のイギリス映画「魔笛」は、モーツァルトの有名なオペラを映画化したものだ。設定に一部脚色は見られるが、原作のストーリーをほぼ踏襲しており、また歌の聞かせどころも満遍なく披露されているので、原作の雰囲気を別な形で享受できる。なかなか楽しい作品である。

脚色というのは、夜の女王とザラストラの対立を、青い制服の軍と赤い制服の軍の対立に置き換え、両者が塹壕を挟んでにらみ合うところから始まるようにしている点だ。その対立はエスカレートして、双翼の爆撃機が飛んだり、戦車が突進したりするところが、第一次世界大戦を想起させる。どうやらこの映画は、モーツァルトのファンタスティックな世界を借りて、反戦と平和の尊さを訴えるような意図を感じさせるが、2006年のイギリスで、そのような意図が実現されたことの背景はよくわからない。

パミーナに一目惚れしたタミーノがザラストラから試練を与えられるところは原作と同様だが、その試練の目的は、平和の回復ということになっている。そして実際その試練を乗り越えることで平和が達成されることになっている。その前に、ザラストラが夜の女王を破滅させるのだが。

一方パパゲーノのほうは、最初は老女として現われたパパゲーナが若い女性に変身したことに大喜びする。そこも原作と同じだ。その二人がデュエットで歌う所は、原作最大の聞かせどころだが、この映画のなかでも、その歌の魅力は十分に味わえるようにできている。

ラストシーンは、平和が回復された世界で、タミーノとパミーナ、パパゲーノとパパゲーナがザラストラの祝福を受けながら、それぞれ幸せな夫婦となるところを強調している。タミーノは男の子を抱いているのだが、さっそくパミーナに産ませたのだろうか。




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