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オペレーションズ・ミンスミートーナチを欺いた死体



2021年のイギリス映画「オペレーションズ・ミンスミートーナチを欺いた死体 ( Operation Mincemeat ジョン・マッデン監督)」は、第二次大戦中の連合国側の対ナチ謀略計画をテーマにした作品。これは、シチリア上陸を目指していた英米が、ドイツの兵力を他の戦線に分散させ、シチリアの攻略をやりやすくするために立てられた作戦のことで、ドイツを惑乱させるために人間の死体を利用した。そこからミンスミート作戦と名付けられたわけだが、ミンスミートとはばらばらになった肉を意味する言葉だ。日本の鉄道関係者は、(轢死して)バラバラになった人間の死体をミンチと呼ぶが、それに相当する言葉である。

計画の概要は次のとおり。英軍将校の死体をスペイン海岸に漂着させる。死体には英軍の機密書類なるものを持たせる。ナチはその書類を手に入れて読むはずだ。そこには、連合軍の標的はギリシャだと書かれている。ドイツ軍はそれに備えてギリシャに兵をさき、シチリアは手薄になるだろう。そこを狙ってシチリアに上陸すれば、イタリアを陥落させることができる。

この計画は実際に行われ、所期の目的を達したそうである。映画はその計画が実行される過程を描く。だが、計画に携わった人物の行動には、かなりな脚色が加えられており、フィクショナルな部分も多い。

映画を見ての印象は、迫力に欠ける退屈な作品というところだ。映画の登場人物たちに人間的な魅力のないのがその理由だ。そのうえこの映画は、アングロサクソンらしい傲慢さを随所に感じさせる。利口なイギリス人の前には、ドイツ人といえども翻弄されてしまう、ましてスペイン人などは子供を相手にするようなものだ、といった傲慢さが露骨に感じられるのである。

なお、この作戦はチャーチル自ら深くかかわったということで、映画にはチャーチルも出てくる。




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