1979年のアメリカ映画「オール・ザット・ジャズ(All That Jazz)」は、ボブ・フォッシーによるミュージカル映画。ボブ・フォッシーは、ライザ・ミネリ主演のミュージカル映画「キャバレー」(1972)も手掛けている。派手な振り付けが持ち味だ。この映画も、そうした派手な振り付けが売り物で、全編歌と踊りの連続といったところ。たいした筋書はない。ただ、フォッシーをイメージしたミュージカル演出家のセクシーな生き方を核にしている。その生き方は、フォッシー自身の生き方をモデルにしているということらしい。もっとも映画の中の演出家は、病気で死んでしまうのだが、フォッシー自身は生き残った。
前半は演出家の活動を追う。後半は、病気で倒れた演出家が、夢の中で自分が活躍する場面が描かれる。その夢のなかで、「バイバイラヴ」をもじった「バイバイライフ」という歌が歌われる。原曲の歌詞を、「おさらば人生」というふうに変えて、死にゆく気持ちを表現しているわけで、死をも笑いの種にしてしまうフォッシーのプロフェッショナル意識がうかがわれるところである。
この映画は、カンヌでパルムドールをとった。アメリカ映画がパルムドールをとるのはめずらしい。LGBTに寛容な雰囲気で、しかも前提的なタッチのミュージカルということが、カンヌでうけた理由か。
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