壺齋散人の 映画探検
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デヴィッド・リンチ「ワイルド・アット・ハート」:暴力とセックス



デヴィッド・リンチの1990年の映画「ワイルド・アット・ハート(Wild at heart)」は、題名から連想されるとおり、野獣のようの生きる人間たちの暴力とセックスを描いた作品。意味のある筋書はないに等しい。ひたすらセックスにふける男女と、野卑な男たちが繰り広げる暴力沙汰が執拗に描写されるだけである。

こういうタイプの暴力映画は、根強い需要があるから繰り返し作られるのだろう。日本でも北野武のような作家が、暴力のための暴力といったものを描き続けて、それなりの人気と評価を集めたものだ。暴力は、人間性のある面が発露したものと考えられるので、それを正面から描くことにも、一定の意義があるのであろう。

この映画の舞台は、ニューオリンズやテクサスといったアメリカ南部だ。アメリカは基本的に暴力的な社会であるが、とりわけ南部が暴力的であるのは、「イージーライダー」などを通じて知れ渡っている。だからこの映画は、そうした南部を中心としたアメリカ社会の暴力的な体質に光をあてたといえなくもない。こうした暴力的な体質が浸み込んでいるために、トランプのような男が大統領になったりするわけである。




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