壺齋散人の 映画探検 |
HOME|ブログ本館|美術批評|東京を描く|水彩画 |動物写真|西洋哲学 |プロフィール|掲示板 |
1954年のアメリカ映画「帰らざる河(River of No Return)」は、マリリン・モンローにとって初めての西部劇だ。インディアンの襲撃から逃れるために、激流を筏で下るという筋書きだ。そのインディアンをこの映画が悪の権化のように描いているのは、当時のアメリカの植民地主義的な偏見を反映しているのであろう。アメリカにやってきた白人が、インディアンを獣のように殺すのは、現在のイスラエル国家のユダヤ人が、パレスチナ人を虐殺するのと似通っている。両者は植民地主義でつながっているのである。 刑務所から出てきた男が、息子と再会して新しい生活を始める。そこへマリリン・モンローが愛人と共にやってくる。モンローは、カウンシルの町の酒場で歌手をしており、息子とも知り合いだった。ところが彼女の愛人が、男をたたきのめしたうえに、馬とライフルを奪って去る。ライフルがなければインディアンに殺される。男はインディアンから逃れるのと、愛人をこらしめるのと、二つの目的を抱いて、筏でカウンシルの町をめざす。その途中でいろいろなことが起きる、といった内容だ。 映画としては、あまり褒められたものではないが、映像は美しい。また、モンローの演技も進化している。あいかわらずセックスアピールは感じさせるが、尻をふるなど余計なことをしないでも、魅力を感じさせてくれる。 ギターを抱えて歌うなど、モンローの歌声を聞かせる場面が随所にある。この映画の中のモンローは、なかなかの美声を聞かせてくれる。 なお、野坂昭如がかつて「マリリン・モンロー・ノー・リターン」と言ったのは、この映画の題名に触発されたのであろう。だが、この言葉は、文字通りには、マリリン・モンローよ戻ってくるな、という意味である。 |
HOME | 映画についてのエッセー| マリリン・モンローはなぜかくも愛されるか |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2013-2021 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |