壺齋散人の 映画探検 |
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「続・男はつらいよ」は、1969年8月に公開された映画「男はつらいよ」の続編。同年の11月に公開されているから、わずか三か月しかたっていなかった。第一作目が爆発的にヒットしたわけでもなかったが、同趣旨のテレビドラマがヒットしていたこともあり、シリーズとして育てる方針があったにかもしれない。 一作目同様寅次郎の失恋がテーマ。それに寅次郎の母恋いを絡めてある。マドンナ役は佐藤おりえ、ずいぶん若々しく見える。一方母親役はミヤコ蝶々。当時大気を誇った喜劇女優で、寅次郎の相方として申し分ない。その母親とは京都で出会うのだが、期待に反してそつない扱いをされ、寅次郎は落胆する。母親は連れ込み旅館のおかみで、金の亡者となっており、息子が会いに来たというのに、金の無心はお断りといって追い出すのだ。 それに比べ、マドンナの佐藤おりえは、心のやさしい天女のような女性として描かれている。彼女は寅次郎を「トラちゃん」と呼び、なにかと世話をしてくれるばかりか、一緒に母親のところについてきてくれるのだ。彼女の父親は散歩先生といって、寅次郎の子供のころの先生である。いまでも寅次郎を子供のように思ってくれる。この父子の慈愛を受けて、寅次郎は心の痛手を癒すのだ。 寅次郎が失恋するのは、このシリーズの第一作目からのポリシーだったらしい。マドンナの恋人は寅次郎が入院した病院の医師で、寅次郎には散々な目に合わされるのだが、それがかえっておりえとの仲をとりもつ機縁となったというわけだ。 渥美清の演技が見ものである。また、ミヤコ蝶々も劣らず存在感を示している。彼女はこのシリーズでは七作目に再登場するばかりで、ほとんど寅次郎への影響力はもっていない。 |
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