壺齋散人の 映画探検 |
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「男はつらいよ浪花の恋の寅次郎」は、寅さんシリーズ第二十七作、公開は1981年夏。瀬戸内海の島で偶然知り合った女とねんごろになり、寅次郎としてはめずらしく本格的に惚れるのだが、例によってぐずぐずしているうちに、女はほかの男と結婚するといった内容。 寅次郎が惚れた女とは、大阪で芸者をしているフミ(松坂慶子)という女。子供のころに家族が解体し、祖母の手で育てられたのだったが、その祖母が死んで、葬式のために島へ里帰りしている時に、偶然寅次郎と知り合ったのだった。互いに気が合うものを感じたのだろう。二人はすぐに打ち解けあった仲にある。 その後、大阪で再会した二人は、更に関係を深めていく。女にはたった一人の肉親である弟がおり、その弟に会いたいというので、寅次郎は一緒になって弟を訪ねる。弟が働いていたという会社に行き着きはしたものの、弟がつい最近病気で死んだと知らされる。嘆き悲しむフミを寅次郎は慰めてやり、なにかと心の支えになりたいと思う。そのうちその思いは、本物の恋に発展するのだが、寅次郎は自分の気持ちをどう表現していいかわからない。 フミは座敷を放り出して寅次郎のもとにやってきて、一晩を一緒に過ごすのだが、そんなフミに寅次郎はなにもすることがない。ただただうろたえているばかりなのである。 やがて柴又に帰った寅二郎を、フミが訪ねてきて、実は結婚することにしたと告げる。それだけならなにもわざわざ柴又までくることはない、はがき一本ですむことだと寅次郎は言うのだが、その顔には動揺がかくせない。 そんな具合にして、いつものごとく寅二郎の失恋で終わるのだが、今回はその失恋が、傍で見ているものの目にも、痛々しく映るというわけなのである。 松坂慶子がなかなかよい。彼女は、色気を感じさせながら、人間としての暖かさも感じさせる。その雰囲気は天性のものなのであろう。 |
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