壺齋散人の 映画探検
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東陽一「うれしはずかし物語」 中年夫婦の浮気



東陽一の1988年の映画「うれしはずかし物語」は、倦怠期の中年夫婦がそれぞれ浮気をしあうさまを描いたポルノ映画である。寺田農演じる夫は女子高生とセックスを楽しみ、本阿弥周子演じる妻は四回戦ボクサーを相手にディープセックスに我を忘れる。女子高生を演じた川上麻衣子がちょっと肥満ぎみなのだが、これがかえって健康な色気を感じさせる。本阿弥がやや肥満気味なのは、年のせいだから仕方がない。だが、乳房はかえって豊かである。垂れ下がってはいない。ただ尻はやや垂れ気味ではある。

寺田は女子高生からいきなり愛人にしてと言われ、是非もなく受け入れる。月十五万円の手当で、週一回マンションでセックスするという条件だ。この女子高生は、どうやら処女だったらしく、最初のセックスでは痛がる。だが次第に大胆になり、自分から積極的にセックスを楽しむようになる。映画の見せ所は、寺田と川上のもつれあう場面なのである。

一方、本阿弥のほうは、電話でのストーカー行為を受けていたのが発展して、その男とセックスするようになる。彼女はフレンチスタイルが好きで、背後から突かれると至上の快楽を覚えるのだ。面白いのは、寺田が借りたアパートの部屋と、妻が通う男のアパートの部屋が近接していて、互いに相手の様子が見えるということだ。そこで夫婦とも、配偶者のセックス現場を見てしまう羽目になる。

そんなわけで、めちゃくちゃな筋書きである。ただ、女子高生が殊勝な心掛けで、若い男との関係を楽しみながらも、パトロンへの契約上の条件に忠実な上に、たまにはサービスと称して時間外のセックスにまで応じるのがなんとも義理がたい。夫婦が最後には、浮気より家庭の安定を優先させるところは、いかにも日本的だ。




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