壺齋散人の 映画探検
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チェコの映画:名作の鑑賞と解説


チェコは、冷戦時代にはスロバキアとともに一国家を形成していた。チェコ・スロバキアである。この二つのうち、チェコのほうが文化的発信力が高かった。チェコの領域は、古くはボヘミアと呼ばれ、東ヨーロッパのなかでもっとも西洋化が進んだ地域だった。映画の分野でも、けっこう存在感を発揮していた。

チェコ映画の特徴をいえば、人形劇の伝統を踏まえたシュル・レアルな作品が多いということがあげられよう。なにしろ、カレル・チェペクを生んだ国柄だから、奔放な想像力を感じさせる作品に醍醐味のあるものが多いと言われる。ヤン・シュヴァンクマイエルはそうしたシュル・レアルな作風の第一人者である。彼は、実写と人形劇を組み合わせた独特の映像世界を作り上げた。

チェコの映画界では、1960年代に、フランスのヌーベルバーグに相当するチェコ・ヌーベルバーグ運動がおこり、ミロシュ・フォアマンなどの作品が高く評価された。しかし、チェコの映画は、日本ではほとんど知られることはなかった。しかも、1968年にプラハの春が挫折すると、フォアマンなど主だった映画作家が国外に流出し、停滞するようになった。

チェコの映画が日本でも知られるようになるのは、冷戦が終わり、チェコとスロバキアが分裂した後のことである。1993年にチェコ共和国が発足し、チェコは西洋流の資本主義システムを追求するようになり、映画の世界でも新しい動きが出てくる。チェコでは、1948年以降カルロヴィヴァリ国際映画祭が催されており、当初はソ連および東欧圏の映画をカバーしていたが、やがて西側を含めた世界規模の市場に解放されるようになって、チェコからも良質な作品が生まれるようになったという。

それでもそんなに多くの作品が日本で上映されることはなかった。だが、2020年に「異端の鳥」が日本でも上映され大きな評判を呼んだこともあり、今後日本でのチェコ映画の紹介が進むと思う。

ここではそんなチェコ映画のうち、日本で話題になった作品を取り上げて、鑑賞しながら適宜解説・批評を加えたいと思う。


チェコ映画「アリス」:アリスの不思議な世界

ヤン・シュヴァンクマイエル「ファウスト」 ファウスト伝説を人形劇で

ヤン・シュヴァンクマイエル「オテサーネク妄想の子供」チェコの食人樹伝説

アニメ映画「ファンタスティック・プラネット」 架空の惑星の人類

ヤン・スヴェラーク「ダーク・ブルー」:英軍傭兵のチェコ人

チェコ・ウクライナ映画「異端の鳥」:ナチス時代のユダヤ人迫害




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