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ジェームズ・L・ブルックス「愛と追憶の日々」:
アメリカ人女性の性的な行動パターン」



ジェームズ・L・ブルックスの1983年の映画「愛と追憶の日々(Terms of Endearment)」は、アメリカ人の家族関係とかアメリカ人女性の性的な行動パターンというようなものを描いている。一応、母子世帯の母と娘の関係がメーン・テーマになっており、それに彼女らのセックスライフとか、つらい闘病生活とかを絡めている。闘病生活を余儀なくされるのは、娘のほうで、彼女はガンの発見が手遅れになったので、愛する子どもたちを残して死んでしまうのだ。

彼女らが母子世帯になったのは、母親の夫で娘の父親である男が死んだためである。だが、彼女らは二人で逞しく生きて行く。そのうち娘に恋人ができるが、母親は何故か気にいらない。そこで娘は家を出て、夫の職場があるアイオワに引っ越す。それまで彼女らはテキサスで暮らしていたのだ。しかし、家は離れていても、母娘の絆は強く、互いにささえあう。娘は二人の息子と一人の娘を生み、家族はなかよく暮らしているように見える。

だが、夫が不倫していることがわかる。怒り来るった娘(デブラ・ウィンガー)は、たまたま知り合った中年男と、不倫のまねごとをする。夫への仕返しだ。一方母親(シャーリー・マクレーン)は、隣に住んでいる宇宙飛行士を名乗る男とねんごろになる。長い間の男日照りで、欲情が鬱屈していたのだ。母娘は、互いの不倫の醍醐味を語りあってうさばらしをするというわけである。

そんな具合で、アメリカ人の普通の母子世帯の母親と娘の関係に焦点を合わせており、娘が最後にがんで死んでいくのは、付け足しのように見える。

母親を演じたシャーリー・マクレーンの演技がよい。彼女はビリー・ワイルダーの喜劇「アパートの鍵貸します」の印象が非常に強烈なのだが、この映画の中でも、コメディタッチの中に泣かせるようなところも見せてくれる。




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