壺齋散人の 映画探検
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ペニー・マーシャル「レナードの朝」:脳性麻痺をめぐる医療映画



1990年のアメリカ映画「レナードの朝(Awakenings ペニー・マーシャル監督)」は、脳性まひの治療に献身する医師を描いた作品。実際の出来事に基づいているというアナウンスがあるとおり、半ば伝記映画だ。1969年のアメリカの、ある精神病院を舞台にしている。そこにやとわれたある医師が、患者の治療にとって、パーキンソン病のために開発された薬が効果があると考え、それを治験したところ劇的な効果があらわれる。だが薬には使用期限のようなものがあって、患者らは再びもともまひ状態に戻るというような内容である。

映画は、レナードという少年が病気にかかるところから始まる。その病気は1920年代のアメリカで流行した惰眠性脳炎というもので、深刻な後遺症をともない、多くは脳性麻痺の症状に陥る。運動機能を損傷し、寝たきりに近い状態になるのだ。レナードもそのひとりだった。かれは25年ものあいだ病院で暮らし、ほとんど寝たきりに近い状態だった。

その病院に、病理学を専攻する医師がやとわれる。かれは患者の症状を詳しく研究するうち、麻痺の症状がパーキンソン病に似ていると思うようになる。そのパーキンソン病によく聞く薬が開発されたと聞いた医師は、それを自分の患者に投薬しようと考える。かくしてそれをレナードに投薬したところ、劇的な効果が表れ、レナードは運動機能をとりもどしたばかりか、若い女性と恋をしたりもする。だが、それは長く続かなかった。やがてかれはもとの麻痺状態に逆戻りするのだ。薬の効果が長続きしなかったためである。

こんな具合に、医療をテーマとした作品である。見どころは、病気にたちむかう医師の真摯な人柄であろう。




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