壺齋散人の 映画探検
HOMEブログ本館美術批評東京を描く水彩画動物写真西洋哲学 プロフィール掲示板


ビューティフル・マインド:ジョン・ナッシュの半生



2001年のアメリカ映画「ビューティフル・マインド(Beautiful Mind ロン・ハワード監督)」は、ゲームの理論の開発者ジョン・ナッシュの半生を描いた作品。ゲームの理論そのものは、確率論を扱った数学の分野だが、ナッシュはそれを経済事象に応用して、経済をめぐる人間の行動予測を研究した。それ自体はたいして意味のある研究ともいえぬが、ただ金儲けがしやすくなったというので、世界中の投資家に感謝され、それがもとでノーベル経済学賞をもらったりした。

映画はそのナッシュが統合失調症を患っていたとか、国防省によって冷戦の第一線にかりだされるところを描く。かれが統合失調症を患ったことについては、その発症の時期について所説あるようだが、映画ではプリンストン大学の学生時代にすでに発症していたということにしている。仲良しのルームメイトがいて、なにかと一緒に行動するのだが、それはナッシュの幻想だったというのだ。

また、冷戦への協力については、対ソ連諜報活動に動員され、暗号解読の研究をさせられたということになっている。だが、そのナッシュに指示する男というのが、これもまたナッシュの幻想だったのであり、かなりわけのわからぬ話になっている。

映画の見どころとしては、統合失調症に陥った男がすぐれた研究をする過程を描いたということらしいが、その統合失調症の描き方が、どうも興味本位で浅はかに見える。




HOMEアメリカ映画アメリカ映画補遺









作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2013-2021
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである