壺齋散人の 映画探検 |
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1936年のアメリカ映画「化石の森(The Petrified Forest)」は、ギャング映画に分類されているが、普通のギャング映画とはかなり異なった雰囲気の作品である。普通のギャング映画は、ギャングを主人公にして、そのあくどい生き様を描くものだが、この映画の主人公は放浪の作家であり、ギャングは脇役に過ぎない。そのギャングをハンフリー・ボガートが演じているので、ボガート好きにとってはそれなりに魅力があるのだと思う。だが、ボガートにこだわりを感じない者にとっては、中途半端な映画だという印象のほうが強いのではないか。 砂漠を放浪していた作家が、ガソリンスタンドで食事をする。すでに中年に達しているこの男に、スタンドの若い娘が一目ぼれする。その娘をベティ・デイヴィスが演じている。その時、ベティは28歳だった。画面ではもっと若く見える。スタンドには若い男が雇われていて、その男がベティに惚れている。そんな設定のところ、ハンフリーとその仲間数人がやってくる。かれらはスタンドに用があるわけではない。ハンフリーが愛人とこのスタンドであうつもりなのだ。かれらは指名手配されており、そのことについて隠し立てするわけではない。ただ、自分らの言うことを聞けというだけである。 かくしてスタンドの狭い空間での息詰まるような人間関係が展開される。そのあたりは、後年の映画でハンフリーがギャングを演じた「必死の逃亡者」と同じようなストーリーである。「必死の逃亡者」では、ハンフリーは射殺されるが、この映画では死なない。 ベティが惚れた作家は、生命保険証を取り出して、自分が死んだらベティを受取人に指定したいという。もっともかれも死なないから、保険金の約束は未来に持ち越される。 |
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