壺齋散人の 映画探検 |
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北野武は、もともとはお笑い芸人で、ビートたけしの名で大いに名をはせたが、生来器用なところがあるらしく、映画作家としても成功した。北野武の映画との因縁は、大島渚の映画「戦場のメリークリスマス」に俳優として出ることから始まったが、そのうち映画監督として、第一線で采配をとるようになった。北野の映画の特徴は暴力に拘っていることで、処女作の「その男狂暴につき」から、近年の「アウトレイジ」シリーズまで、一貫して暴力を描き続けた. |
その暴力の描き方があまりにもすさまじく、他に例を見ないようなユニークさなので、北野武は一躍個性的な映画作家として世界的な評価を受けた。どんな分野でも個性的であることが有能な人間として認められやすい条件というのが、近年の人類的な特徴であることを思えば、暴力にユニークさを特化させた北野武の戦略はスマートだったといえるだろう。 処女作の「その男狂暴につき」あたりでは、北野武の映画の中の暴力には、一定の根拠があるように描かれていた。暴力というものは、振るわれる根拠があるから振るわれるので、根拠もなく振るわれるわけではない。そこには北野なりの一定の正義感覚があったと言ってもよい。ところが、映画作りを重ねるにつれて、北野武の暴力の描き方には、まるで何の根拠も持たない、暴力のための暴力という色彩を強めてゆく。そのターニングポイントとなった作品は「HANA・BI」あたりだろう。これ以降、北野武の映画の中では、暴力のために暴力が振るわれると言えるような、凄惨な暴力描写が目立つようになる。 「座頭市」などは、その凄惨な暴力の典型というべきものだが、「アウトレイジ」シリーズになると、暴力は凄惨であるばかりでなく、ある種の美しさを感じさせるようにもなる。そこでは、暴力には根拠がないように見えながら、やはりそれなりの根拠を持たされる。それは北野武なりの、暴力の美学がしからしめるところなのだろう。 北野武は一方、暴力以外のことも映画の中で描いた。とくにお家芸とも言えるドタバタ風のギャグを描いた作品には佳作がある。「アキレスと亀」などは、それまで北野武が舞台やテレビで培ってきた喜劇精神が縦横に盛られていて、見ていて楽しい作品である。 ここではそんな北野武の映画の代表作をいくつかとりあげて鑑賞してみたい。 北野武「その男、凶暴につき」:正当な暴力 北野武の暴力映画「ソナチネ」:やくざの抗争 北野武「HANA・BI」:抑圧された身体性の叫び 北野武「菊次郎の夏」:母恋のロードムーヴィー 北野武「座頭市」:たけしのオリジナル座頭市 北野武「監督・ばんざい!」:たけし風お笑い映画 北野武「アキレスと亀」:画家たけし 北野北野武の暴力映画「アウトレイジ」:凄惨な拷問シーン 北野武の暴力やくざ映画「アウトレイジ ビヨンド」:警察を皮肉る |
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