壺齋散人の 映画探検
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野村芳太郎「真夜中の招待状」:怪奇仕立てのサスペンス映画



野村芳太郎の1961年の映画「真夜中の招待状」は、怪奇仕立てのサスペンス映画である。原作は遠藤周作の小説だというが、あの「沈黙」の作者である遠藤が、こんな子供だましのようなサスペンス小説を書いたというのが意外である。もっともこの映画がどこまで原作の雰囲気に忠実なのかはわからぬが。

フィアンセの三人の兄たちが次々と失踪する事件があり、すっかりノイローゼ状態になったかれを救おうとして、若い女が謎の解明に乗り出すといった内容。その女を小林麻美が演じている。また、高橋悦司が心理学者として小林の相棒を務める。この二人が懸命に走りまわったおかげで、真相が明らかになるのはいいが、それがどうみても、子供だましのようなしまらない展開ぶりというわけである。

舞台となった高千穂の景色が非常に美しくうつっているのが、この映画の醍醐味だ。それと小林の肉体美がなかなか魅力的に表現されている。しかもセックスシーンまで用意されていて、大人の男にはうける作り方にはなっている。だがやはり、駄作というべきだろう。

怪奇仕立てのサービスというか、死者の魂寄せとか、少女への催眠術とかが披露される。そんなところがいっそう、この映画を中途半端な子供だましにしているのである。




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