壺齋散人の 映画探検
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デンマークの映画:主要作品の解説と批評


デンマークは、ドイツと陸続きであり、一応西欧に分類してもおかしくはないが、歴史的にはスカンディナヴィアなど北欧とのつながりが深く、北欧に分類されることが多い。映画にも、北欧諸国との類似性が指摘できる。たとえば、暗い自然を背景に陰湿な人間関係が描かれていたり、性的な描写が比較的少ないといった具合である。性の描写へのこだわりは、西欧諸国の映画に共通してみられる傾向であるから、それについて自制的なのは、やはり北欧映画ならではの傾向と言えるのではないか。

デンマークといえば、キルケゴールとかアンデルセンを生んだ国柄で、瞑想的な国民気質が指摘できる。デンマーク人はこの二人、特にキルケゴールを敬愛しているようで、彼の名が出てくる映画がけっこうある。キルケゴールは、大衆社会状況を問題に取り上げた最初の哲学者だ。デンマーク社会というのは、規模の小さなコミュニティなので、国民相互が非常に密接な人間関係を築く傾向がある。そうした傾向が強まると、ある種の閉塞感が生まれる。その閉塞感をキルケゴールは問題にして、デンマークの大衆社会状況を分析したのだった。

デンマーク映画には、そうした閉塞した人間関係を描いたものが多い。たとえば、デンマーク式村八分を描いた「偽りなき者」とか、少年の社会適応を描いた「未来を生きる君たちへ」などである。

一方、デンマークはNATOに加盟していることもあって、対外軍事活動も盛んなようである。そんな活動に伴って生じる戦争犯罪についても、けっこうシビアに描いている。たとえば、シリアにおけるデンマーク人の戦争犯罪をとりあげた「ある戦争」などである。

ここではそんなデンマーク映画のなかから主要な作品を取り上げて、鑑賞しながら適宜解説・批評を加えたい。


デンマーク映画「アフター・ウェディング」:取引の手段としての善意

デンマーク映画「未来を生きる君たちへ」:少年の社会適応

デンマーク映画「偽りなき者」:デンマー式村八分

ラース・フォン・トリアー「ダンサー・イン・ザ・ダーク」:アメリカのチェコ人移民

デンマーク映画「ある戦争」:軍人の戦争犯罪

デンマーク映画「アナザーラウンド」 男の更年期障害

デンマーク映画「ヒトラーの忘れもの」 地雷撤去を描く




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