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男はつらいよ柴又慕情:寅さんシリーズ第九作



「男はつらいよ柴又慕情」は、寅さんシリーズ第九作、1972年夏に公開された。マドンナ役に吉永小百合を迎え、吉永の恋と寅さんの失恋を描く。これまでの作品と違い、寅さんではなくマドンナに焦点を当ててあり、寅さんはあくまでも吉永の引き立て役に徹している。

寅さんは北陸を放浪中に、吉永ら三人組の女性たちを仲良くなる。その付き合いは、東京に戻ってからも続き、吉永と接しているいるうちに、寅さんには恋心が生じる。ところが吉永には恋人がいて、その恋人と結婚できないことで悩んでいる。作家の父親が反対しているのだ。

その悩みを吉永は、寅さんではなく妹のさくらに打ち明ける。さくらは夫の博とともに吉永を励ます。兄の恋心は知っていたが、吉永のことを考えると、兄には申し訳ないが、吉永の味方をせずには居られないのだ。

かくして吉永の恋は成就し、寅さんの恋は破れるといういつものパターンが繰り返される。今回は、寅さんも吉永に対して保護者的な感情を抱いており、自分の失恋より吉永の幸福を優先するという殊勝な気持ちが伝わってくるように作られている。

なお、一作目からおいちゃん役をつとめてきた森川信が第八作目を最後に死んだので、この回から松村達夫が演じることになった。森川とはまた違った味わいがある。


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