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男はつらいよ寅次郎夢枕:寅さんシリーズ第十作



「男はつらいよ寅次郎夢枕」は寅さんシリーズ第十作、1972年1月公開。テーマは寅次郎の嫁探しだ。旅先の甲州道でテキ屋仲間の死を知り、渡世家業の虚しさを悟った寅次郎が心を入れ替えてまじめには暮らそうとする。そんな寅次郎に感心した御前様が、嫁を持たせたいといったところ、おいちゃん始め周りの皆が必死になって寅次郎の嫁探しに奔走する。

そんな折に、寅次郎の幼馴染のお千代坊(八千草薫)が離婚して柴又に戻り、虎屋の近所に美容院を開業する。そんな千代坊に寅次郎はなにかと気を使う。一方、虎屋には御前様の甥という男が下宿することとなる。東大で素粒子学を研究している秀才学者だ。寅次郎は当初この学者を毛嫌いしていたが、学者がお千代坊に惚れていることに気づくと、仲人役をしてやろうという殊勝な気持ちを起す。

寅次郎は亀戸天神の藤棚の前にお千代坊を連れて行き、ぜひ結婚するように勧める。意外なことにお千代坊はそれを受け入れる。ところがお千代坊が結婚するつもりだったのは、学者ではなく寅次郎だった、というような人を食ったような筋書きだ。

寅次郎とお千代坊のすれ違いの恋が見ものだ。これまで寅次郎は女に好意を持たれたことはあったが、結婚してほしいといわれたことはなかった。だから、いくら幼馴染とはいえ、女から結婚したいといわれると、天地がひっくり返ったような混乱を覚えるのだ。この映画の見どころは、そんな寅次郎の純情ぶりである。


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