壺齋散人の 映画探検 |
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「男はつらいよ翔んでる寅次郎」は、寅さんシリーズ第二十三作、公開は1979年夏。結婚に悩む若い女(桃井かおり)の世話を焼くうち、自分でもその女に惹かれるのを感じるのだが、その若い女は同じ男と二度結婚式をあげて結ばれるという内容である。 その娘とは、北海道のどこかの水際で出会った。そのさいに寅次郎は、若い女が気軽に男に声をかけるものじゃないといって説経を垂れるのだが、二度目に会ったさいには、娘は男に強姦されそうになっていた。それを助けたのが縁で、寅さんと娘の交際が始まる。 娘は、意に沿わない結婚がいやで、式の途中に抜け出してタクシーに乗り込み、虎屋に避難する。たまたま寅さんが帰ってきていて、娘の境遇に同情し、面倒をみてやることにする。 娘が結婚を躊躇した相手を布施明が演じていて、かれは振られてもあきらめることができない。なんども再アタックしては、娘の愛を勝ち取ろうとする。寅次郎はそれを脅威に思って、二人の仲を裂こうとするのだが、娘は男の愛に感じるところがあり、ついに彼の求愛を受け入れる。そのきっかけがいかにも現代っ子らしい。それまで娘は男から愛の言葉を聞いたことがなかったのだったが、あらためて君が好きだといわれて、まいってしまうのだ。その挙句、その場で結ばれてしまうといった具合。娘はまず、キスしてというのだが、キスの次にはなにが起るか、それはあまりにも明瞭である。 振られた形の寅次郎だが、二人のために仲人を努めてやる。その式に娘の母親も出てきて、親子の和解もなりたち、めでたしめでたしで終わるというわけである。 男から好きだといわれて舞い上がってしまう娘の表情がこの映画の最大の見どころである。愛の言葉は女を発情させるものと見える。高樹のぶ子なら、「陰(ほと)が濡れました」と言わせるところだろうが、この娘はうれしいとばかり言って、とりあえず男にしゃぶりつくのである。 |
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