壺齋散人の 映画探検
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アメリカのコメディ映画:代表作品の解説


アメリカ人は喜劇が好きなようで、映画の世界でも、コメディ作品が数多く作られた。サイレント時代のアメリカのコメディ映画は、チャップリンのほかバスター・キートン、ハロルド・ロイドという喜劇の名人を生んだ。かれらはいずれも、身体をアクロバット的に使ったスラップスティック・コメディを得意としており、見るものを爆発的な哄笑に導いたものだ。

この三人には作風の相違もある。それを簡単にいうと、チャップリンが鋭い社会批判とそこはかとないペーソスの混合、キートンが雄大なスペクタクルを中心とした追跡劇、ロイドがアクロバッティックな身体演技といったふうに特徴づけることができよう。

トーキー時代になると、キートンとロイドは台詞がうまく言えないことで没落する一方、しゃれたセリフ回しを得意とするマルクス兄弟が台頭した。チャップリンは、短編のドタバタ喜劇から、長編の本格的なコメディ映画をつくるようになり、その中には「モダン・タイムズ」や「独裁者」といった映画史に残る傑作も含まれていた。

また、アメリカのコメディ映画には、スラップスティック・コメディとは異なった流れもある。「ニノチカ」はそうした流れの比較的早い時期の作品で、ドタバタ劇ではなく、知的な笑いを取り入れていた。これは当時のアメリカ最大のライバルであったソ連の体制を皮肉ったものだ。当時絶世の美女と称えられたグレタ・ガルボが、そのソ連を代表する形で演技をしたのだったが、彼女が大口をあけて笑うと、嘲笑されているのはソ連(ロシア)人ではなく、アメリカ人だと錯覚するほどである。

1940年代には、ボブ・ホープというコメディアンが出現して、アメリカ人を笑わせた。とくに、ビング・クロスビーと組んだ「珍道中」シリーズが人気を博した。ボブ・ホープについで、ジャック・レモンが現れ、大人気を博す。かれは、ビリー・ワイルダーの作品に多く出演したこともあり、ボブ・ホープに比べるとずっと洗練された雰囲気を感じさせた。マリリン・モンローと共演した「お熱いのがお好き」は、レモン一世一代の名演技といえよう。

その後も、ウディ・アレンやディズニーが洒落たコメディ映画を作り、アメリカのコメディ映画のよき伝統を受け継いでいる。そうした伝統が、たとえば「ホーム・アローン」のような、毎年クリスマスの定番として繰り返し放映される作品を生んできた。

ここでは、そんなアメリカのコメディ映画の中から、気の利いた作品を取り上げ、鑑賞しながら適宜解説を加えたい。なお、チャップリンとビリー・ワイルダー、ウディ・アレンといった作家たちについては、それぞれ別途紹介する。


荒武者キートン(Our Hospitality):バスター・キートンのドタバタ喜劇

キートンの探偵学入門:探偵になったキートン


キートンのセブンチャンス:キートンの嫁とり

キートン将軍:追いつ追われつのキートン

豪勇ロイド(Grandma's Boy):ひ弱なおばあちゃん子ロイド

ロイドの要心無用:ロイドの空中アクロバット

猛進ロイド:女性が苦手なロイド

ロイドの人気者:大学で歓迎されるロイド

オペラは踊る(A Night at the Opera):マルクス兄弟

ニノチカ:ソ連を皮肉るロマンス・コメディ

モロッコへの道:ボブ・ホープの珍道中シリーズ

アメリカ映画「三十四丁目の奇蹟」 愉快なクリスマス映画

クリス・コロンバス「ホーム・アローン:クリスマス映画の代表作



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