壺齋散人の 映画探検 |
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トルコ映画は、日本人にはあまりなじみがあるとはいえなかった。だが最近は、日本でも上映される作品が増えてきて、次第に注目されるようになってきた。1980年代にイスタンブール国際映画祭が始まったことなどもあり、トルコの映画市場が世界と結びつくようになったことが、その背景にある。 トルコ映画を代表する監督といえば、セミフ・カプランオールとヌリ・ビルゲ・ジェイランがあげられる。カプランオールは、21世紀に入ったトルコ映画の旗手としての評価が高い。ユスフというトルコ人を主役とした一連のシリーズが、国際的な注目を集めた。シリーズ三作目の「蜂蜜」は、ベルリンで金熊賞をとった。 ジェイランは、トルコ人の生き方にこだわった作品を多く作っている。かれの映画を通じて我々外国人は、トルコ人の家族関係が家父長的で、かつ男尊女卑の風潮が根強いことを感じさせられる。かれの代表作「雪の轍」は、カンヌでパルム・ドールをとった。カッパドキアを舞台にしたこの作品は、トルコ人の家族関係についていろいろ教えてくれる。 トルコは、いまはNATOの加盟国であり、西欧諸国と深い関係を結ぶことになった。だが、西側の植民地主義的な行動には批判的である。そうした批判意識は、イタリアによるリビア侵略をテーマにした「砂漠のライオン」とか、アメリカによるイラク侵略をテーマにした「イラク~狼の谷」などにみられる。一方で、トルコ政府によるクルド人迫害をテーマにした「少女ヘジャル」のような作品もある。 朝鮮戦争に取材した「ブレイブロード」は、トルコが西側と軍事的な協力関係をもってきたことが背景にあり、そうした協力関係の積み重ねがトルコをNATOの一員に加えさせた要因になったと考えさせられる。 トルコはいま国力が充実に向かっている。その国力を背景に、今後国際映画市場での存在感を高めていくものと思われる。ここではそんなトルコ映画から、代表作品を取り上げて、鑑賞しながら適宜解説・批評を加えたいと思う。 砂漠のライオン:イタリアのリビア侵略 トルコ映画「イラクー狼の谷」:シリア戦争の一齣 トルコ映画「少女ヘジャル」 クルド人の少女とトルコ人の老人 トルコ映画「卵」 トルコ人の家族・故郷 トルコ映画「ミルク」 大人になる過程の少年 トルコ映画「蜂蜜」:父と子の絆 トルコ映画「スリー・モンキーズ」 犯罪の身代わり トルコ映画「昔々、アナトリアで」 トルコ的犯罪捜査 トルコ映画「雪の轍」 トルコ人の家族関係 トルコ映画「ブレイブ・ロード名もなき英雄」 朝鮮戦争に参戦したトルコ人 トルコ映画「わが名はキケロ ナチス最悪のスパイ」 |
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