壺齋散人の 映画探検
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フランス映画の世界:名作の鑑賞と解説


フランス映画は、映画発祥の時期から常に世界の映画をリードしてきた。世界最初の商業映画を作ったのはリュミエール兄弟だし、サイレント映画の時代には、フランスはロシアと並んでモンタージュ技法の開発に最も貢献した。、トーキーの時代になってもフランス映画は世界の映画界をリードし続け、その勢いは21世紀の今日でも健在である。フランス映画が生んだ様々な名作は、世界中の映画ファンを魅了してきた。

フランス映画の最初の全盛時代は1930年代に訪れた。サイレント映画でも傑作を作っていたルネ・クレールが、「自由を我らに」などの社会派映画やら「パリの屋根の下で」などのロマンス映画を作って、世界中の映画ファンに喝采された。クレールの映画はチャップリンにも影響を与えたといわれ、その水準の高さは、折り紙つきだった。

1930年代のフランス映画はまた、ジャン・ルノワール、ジュリアン・デュヴィヴィエ、マルセル・カルネといった巨匠たちを輩出した。ジャン・ルノワールは、ジャン・ギャバンを主演に起用して「大いなる幻影」を作り、人間同士の国境を越えての友情を描いた。ジュリアン・デュヴィヴィエもジャン・ギャバンを多く起用し、「地の果てを行く」とか「望郷」といった情緒あふれる映画を作った。

またマルセル・カルネは、ナチス占領時代にあって、多くの映画人が亡命したり沈黙を守っていたときに、「悪魔が夜来る」のような映画を作り、歴史に題材をとりながらも、同時代のフランス人の自由へのあくことなきこだわりを、世界中にアピールした。カルネの映画には、多くのフランス人が勇気づけられたといわれる。カルネは自分自身の安全を危険にさらしても、ユダヤ人と積極的に協力したことでも知られている。そんな彼の解放直後の映画「天井桟敷の人々」は、フランス映画史上最高傑作の一つに位置付けられている。

戦後のフランス映画も、戦前から活躍していた監督たちがひきつづき活躍するほか、ルネ・クレマンやルイ・マルといった個性的な映画監督が現れた。また、1960年代には、ヌーヴェル・ヴァーグと呼ばれる運動がフランス映画を彩ることとなり、フランソワ・トリュフォ、ジャン・リュック・ゴダール、クロード・シャブロルといった新しいタイプの映画作家たちが活躍した。その中で注目すべきはルイス・ブニュエルだ。ブニュエルはスペイン人ではあるが、フランス映画界で活躍し、ある意味もっともフランスらしい映画を作った。それはフランス人のもっとも本質的な属性である背徳性を、真正面から描いたものだった。

その後もフランス映画は、アメリカ映画と並んで、世界の映画をリードし続けている。このサイトでは、そんなフランス映画の中から、数々の数々の名作をとりあげ、鑑賞のうえ解説・批評を加えたい。


ルネ・クレール

ルネ・クレール「眠るパリ」 サイレント映画の古典

ルネ・クレール「イタリア麦の帽子」 馬が麦の帽子を食う話

ルネ・クレール「パリの屋根の下」 フランス・トーキー映画最初の傑作

ルネ・クレール「ル・ミリオン」 人間の欲望を描く

ルネ・クレール「自由を我等に」 機械文明を痛烈に批判

ルネ・クレール「最後の億万長者」 ヒトラーの独裁を皮肉る

ルネ・クレール「幽霊西へ行く」 屋敷に住み着いた先祖の幽霊

ルネ・クレール「悪魔の美しさ」 ファウスト伝説

ルネ・クレール「夜毎の美女」 夢の中の美女たち

ルネ・クレール「リラの門」 男の友情を描く


ジャック・フェデー

ジャック・フェデー「外人部隊」 北アフリカの外人部隊を描く

ジャック・フェデー「ミモザ館」 母親の愛を描く

ジャック・フェデー「女だけの都」 スペイン軍によるフランドル都市の占領

ジャック・フェデー「鎧なき騎士」 ロシア革命の一コマ


ジャン・ルノワール

ジャン・ルノワール「どん底(Les bas-fonds)」 マクシム・ゴーリキーの戯曲を映画化

ジャン・ルノワール「大いなる幻影(La grande illusion)」 フランス兵とドイツ兵の交流

ジャン・ルノワール「獣人(La bete humaine)」 エミール・ゾラの小説を映画化

ジャン・ルノワール「ゲームの規則(La règle du jeu)」 フランスの上流階級を描く

ジャン・ルノワール「河(The River)」 インド人の生活を描く


ジュリアン・デュヴィヴィエ

ジュリアン・デュヴィヴィエ「にんじん」 ジャン・ルナールの小説を映画化

ジュリアン・デュヴィヴィエ「白き処女地」 カナダのフランス移民


ジュリアン・デュヴィヴィエ「ゴルゴタの丘」 キリスト受難劇

ジュリアン・デュヴィヴィエ「地の果てを行く」 モロッコの外人部隊を描く

ジュリアン・デュヴィヴィエ「望郷」 カスバのフランス男の望郷の念

ジュリアン・デュヴィヴィエ「パリの空の下セーヌは流れる」 パリ賛歌

ジュリアン・デュヴィヴィエ「わが青春のマリアンヌ」 幽霊に恋する少年


マルセル・カルネ

マルセル・カルネ「霧の波止場(Le Quai des Brumes)」 ジャン・ギャバンとミシェル・モルガン

マルセル・カルネ「北ホテル(Hôtel du Nord)」 詩情豊かなメロドラマ


マルセル・カルネ「陽は昇る(Le Jour se lève)」 回想のなかの殺人事件

マルセル・カルネ「悪魔が夜来る(Les Visiteurs du Soir)」 中世に題材をとった時代批判映画

マルセル・カルネ「天井桟敷の人々(Les Enfants du Paradis)」 ジャン・ルイ・バローとアルレッティ

マルセル・カルネ「愛人ジュリエット(Juliette ou la Clef des Songes)」 ジェラール・フィリップの夢

マルセル・カルネ「嘆きのテレーズ(Thérèse Raquin)」 ゾラの小説「テレーズ・ラカン」の映画化


ルネ・クレマン

ルネ・クレマン「鉄路の戦い(La Bataille du Rail」) 対独レジスタンスを描く

ルネ・クレマン「海の牙(Les Maudits)」 潜水艦の中のドラマ


ルネ・クレマン「鉄格子の彼方(Au-delà des grilles)」 殺人犯の恋

ルネ・クレマン「禁じられた遊び(Jeux interdits)」 究極の反戦映画

ルネ・クレマン「居酒屋(Gervaise)」 エミール・ゾラの小説の映画化

ルネ・クレマン「太陽がいっぱい(Plein Soleil)」 アラン・ドロンの魅力


ジャン・コクトー

ジャン・コクトー「美女と野獣」(La Belle et la Bête):ボーモン夫人のおとぎ話

ジャン・コクトー「双頭の鷲」(L'aigle à deux têtes):ジャン・マレーの美しさ


ジャン・コクトー「恐るべき親たち」(Les parents terribles):完全な室内劇

ジャン・コクトー「オルフェ」(Orphée):ジャン・コクトー:オルフェウスの冥界訪問伝説


第二次大戦後のフランス映画

クロード・オータン=ララ「肉体の悪魔」:ラディゲの処女作を映画化

クリスチャン・ジャック「花咲ける騎士道」:ファンファン・ラ、チューリップ

ジャック・ベッケル「モンパルナスの灯」:モディリアーニの半生

ジャン・ピエール・メルヴィル「恐るべき子供たち」:ジャン・コクトーの小説を映画化

アンリ・ジョルジュ・クルーゾー「恐怖の報酬」:命をかけた危険な仕事

アンドレ・カオヤット「眼には眼を」:イスラム教徒の復讐

ジャック・ベッケル「現金に手を出すな」:初老のジャン・ギャバン

ロベール・ブレッソン「田舎司祭の日記」:若い男の信仰と村人との交流

ロベール・ブレッソン「抵抗」:ドイツ監獄からの脱出

ロベール・ブレッソン「すり」:フランスの実存的すり

シェルブールの雨傘:フランス流ミュージカル映画

ジャック・ドゥミ「ロバと王女」:ペローの童話「ロバの皮」

ジャック・ベッケル「肉体の冠」:シモーヌ・シニョレの魅力

ジャック・ベッケル「穴」:刑務所からの囚人の脱獄

フランス映画「白痴」:ジェラール・フィリップの出世作

イヴ・アレグレ「美しく小さな浜辺」:ジェラール・フィリップ主演

クロード・オータン=ララ「赤と黒」:スタンダールの小説を映画化


ルイ・マル

ルイ・マル「死刑台のエレベーター」(Ascenseur pour l'échafaud) どじな殺人犯

ルイ・マル「恋人たち」(Les Amants):欲求不満の女の男遍歴


ルイ・マル「地下鉄のザジ」(Zazie dans le métro):大人をきりきりまいさせる少女

ルイ・マル「鬼火」(Le Feu follet):精神を病む男の自殺

ルイ・マル「好奇心」(Le Souffle au Coeur):フランス人の多感な思春期

ルイ・マル「ルシアンの青春」(Lacombe Lucien):対協力者の末路

ルイ・マル「さよなら子供たち」:ユダヤ人をかくまう学校


ヌーヴェル・ヴァーグ映画

大人は判ってくれない(Les Quatre Cents Coups):トリュフォー

ピアニストを撃て(Tirez sur le pianist):フランソア・トリュフォー

突然炎の如く(Jules et Jim):フランソワ・トリュフォー

華氏451:フランソア・トリュフォ

勝手にしやがれ(À bout de souffle):ジャン・リュック・ゴダール

軽蔑(Le Mépris):ジャン=リュック・ゴダール

気狂いピエロ(Pierrot Le Fou):ジャン・リュック・ゴダール

小さな兵隊(Le petit soldat):ジャン・リュック・ゴダール

素敵な悪女(Et Dieu créa la femme):ロジェ・ヴァディム

いとこ同志(Les cousins):クロード・シャブロル


ダルデンヌ兄弟

ダルデンヌ兄弟「ロゼッタ」:ベルギーの下層社会

ダルデンヌ兄弟「息子のまなざし」:愛と許し

ダルデンヌ兄弟「ある子供」:子供の心のまま大人になってしまったような人間

ダルデンヌ兄弟「ロルナの祈り」:アルバニアからベルギーにやってきた女性移民

ダルデンヌ兄弟「少年と自転車」:親に捨てられた子供

ダルデンヌ兄弟「サンドラの週末」:雇用をかけた戦い

ダルデンヌ兄弟「午後8時の訪問者」:若い女性医師の職業的な責任感

ダルデンヌ兄弟「その手に触れるまで」:ベルギーのイスラム・コミュニティ


フランス映画補遺

フランス映画「裁かるるジャンヌ」:ジャンヌ:ダルクの殉教を描く

ロベール・アンリコ「追想」:フランス人医師のナチスへの復讐

アニェス・ヴァルダ「五時から七時までのクレオ」:死に直面した女性の実存的苦悩

アニェス・ヴァルダ「幸福」:道徳的に問題のある人間たち

クロード・ルルーシュ「男と女」:男と女の出会い

フランス映画「ディーパンの闘い」:スリランカ難民を描く

ジャック・リヴェット「セリーヌとジュリーは舟でゆく」:大人のためのファンタジー

ジャック・リヴェット「美しき諍い女」:バルザックの小説「知られざる傑作」

ジャック・リヴェット「ランジェ公爵夫人」:バルザックの小説を映画化

アラン・レね「風にそよぐ草」:頭のおかしな老人と頭のいかれた中年女

ルネ・フェレ「夕映えの道」:初老の女性と高齢の女性とのふれあい

フランス映画「母たちの村」:少女割礼を描く

ロベール・ゲディギャン「キリマンジャロの雪」:フランスの労働者気質

フランス映画「最初の人間」:カミュの自伝的回想

アラン・レネ「愛して飲んで歌って」:アラン・レネ

ウニー・ルコント「めぐりあう日」:実母を探し求める

ステファヌ・プリゼ「女の一生」:モーパッサンの小説を映画化

オリヴィエ・アヤシュ・ヴィダル「12か月の未来図」:フランスの教育格差

クサヴィエ・ボーヴォア「田園の守り人たち」:戦争で働き手を失った女たち


ジャン・ベッケル「クリクリのいた夏」:沼地に暮らす人々

パリ20区、僕たちのクラス:フランスの教育現場を描く

セリーヌ・シアマ「水の中のつぼみ」:思春期の少女の性のめざめ

セリーヌ・シアマ「燃ゆる女の肖像」:女はいかにしてレズビアンになるか

セリーヌ・シアマ「秘密の森の、その向こう」:子供の頃の母親との出会い


フランス映画「トリコロール青の愛」:フランス人らしくないフランス女

モーリス・ピアラ「悪魔の陽の下に」:ファウスト伝説

フランス映画「エマニエル夫人」 日本女性が好んだポルノ

フランス映画「アデル、ブルーは熱い色」:女性同士の同性愛




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